漫田久子の備忘録

日常、競馬など

WINS梅田で出会った鬱陶しいおばちゃんの話

ゴールデンウイーク真っただ中の日本列島。行楽日和の日が続き、僕の地元でも県外ナンバーの車が目立つなど、各地で観光客があふれにぎわっているようです。

 

去年までは人生の夏休みと表現しても過言ではない大学生活を過ごしていたので、連休のありがたみなど感じたこともなかったです。特に自分は京都に住んでいたので、どこに行っても人だらけで逆に鬱陶しいぐらいに感じていました(笑)

しかし4月から社会人になってやっとこの休みのありがたみを感じています。有意義に使おうと思っていますが、結局競馬ばかりやって終わるんだろうなあとある意味達観した状態にあるのが現状です。

 

それでまあ去年の今頃なにやってたかなあなんて考えたりしてたんですけど、そういえば就活してました。ちょうど1つ目の内定をもらうかもらわないかぐらいの時期だったと思いますが、その就活のときのエピソードを今回ブログに書こうと思います。

 

当時の僕はスポーツ紙記者を第1志望にしていたので、手当たり次第にスポーツ紙の採用試験を受けていました。

 

その中の1つにスポーツ報知があったわけですが、1次(個人面接)→2次(筆記試験)→3次(集団面接・グループディスカッション)→4次(個人面接)・東京→最終面接・東京と、全部で5回ある試験のうち僕は4次選考まで進んで、3次までは大阪本社のある梅田まで京都から通っていました。その3回すべてで同じ男子就活生と試験時間が被って、待合室などで雑談しているうちにお互い競馬好きで下宿先が近いことがわかりすっかり意気投合。3次のあとにWINS梅田へ行くことになったんです。あれはオークスのあった日曜日のことでした。

 

お互いを「行けたっしょ!」「来週東京で会おうぜ!」「ダービー現地で見れるやん!」などと励まし合いながらWINS梅田に到着。PATで仕込んでいた馬券の結果を見つつ、ビッシュの取り捨て談義に花を咲かせていると後ろから気配が。

 

「あんたらこんなところでスーツ着てけったいやなあ!」

 

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そこには大阪特有の趣味の悪いヒョウ柄シャツを着た、ファンデーションで顔面真っ青のおばちゃんが立っていました。どちらがけったいやねん。

 

「就活の帰りなんですよ」と返すと「そおかあ!ごくろうさんやなあ!」と労いの言葉をかけられ、間髪いれず「君ら競馬詳しいんやろ!何番買えばいいか教えてや!うち競馬素人やからわからんねん!」と意味不明な質問。なんでWINSに一人で来てて競馬知らんのや。

 

すると僕の心中を察したのか、

 

「うちの孫がな、鉄緑会通っててん!洛南行ってて医学部目指してはるんよ、すごいやろ?」

「もうちょっとでそれが終わるからここで暇つぶししてんねんかあ」

「金だけはあるんや、この前なんてカジノで一晩で500万すったんやで」ガハハハッ

 

などといらない情報も含めていろいろ話してくれました。ちなみに鉄緑会は東大クラスの大学を目指す賢い子供たちが行く学習塾で、WINS梅田の隣にあります。

 

↓こういう位置関係

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まあおばちゃんが競馬素人だという理由がわかったところでどうでもいいんですが、「どこ受けてるんや?」「どこ住んでるんや?」などと根掘り葉掘り聞いてくるので、おばちゃんがいないときに「鬱陶しいおばはんやなあ」と二人で話す程度にはめんどくさかったです。これが噂にきく大阪のおばちゃんか。とんでもないモンスターだ。

 

オークスも終わり、取り捨てに散々悩んだあげく捨てたビッシュが来たことで馬券を外した僕たちはおばちゃんと一緒に打ちひしがれていたわけですが、おばちゃんが最後の質問を投げかけてきました。

 

「あんたら言葉が聞く限りこっちの子とちゃうやろ、どこ出身なんや?」

 

お前になんでそこまで話さなあかんのやと思っているともう1人が「ぼく石川っす!」。お前いいやつかよ、答えないとダメじゃん。

するとおばちゃんが「ちょっと待ってな!あんたは当ててみたい!」

 

お、なんか勝手にクイズ始めたぞ。まあ絶対当たらない。どうせ九州とか言い出すぞ。

 

「…あんた東北やろ?」

 

背筋に電撃が走った。そして僕の顔を見て「どうや?」とニヤッとするおばはんの顔をみてもう一度電撃が走る。

 

「よくわかりましたね!」と僕が面食らった表情で返すとおばちゃんは、

 

「だって顔白いもん」

 

なんやねんそれ。お前のほうがファンデーションのおかげですごいことになってるぞ。

おばちゃんは勝手にクイズを続ける。「ちょっと待ってな、県も当てるわ」

 

どうせわかりっこない。顔が白いというよくわからない質問で当てたんだ。どうせ東北でもない「新潟!」とか言ってバカ晒すだけだ。大阪人ならそれぐらいのオチを用意しているに違いない。

 

「岩手やろ」

 

思わず俺の額から汗が滴り落ちる。なぜわかったんだ。なぜ当ててしまうんだ。それでもお前大阪のおばちゃんか。

 

「なんでわかったんですか」

 

恐る恐る理由を聞く俺とどや顔のおばはん。それを呆然とした表情で眺める石川の彼。

横では最終レースにすべてをかけるねずみ色ジャンバーのおじちゃんたちの阿鼻叫喚が聞こえてくるが、俺の半径2mではもっと熱い勝負が行われている。さあ、おばちゃん!今度は納得のいく答えを返してくれ!

 

「うちも岩手出身だからなんとなくや」

 

鬱陶しい大阪のおばちゃんが実は同郷だったなんて世の中は狭いですね。(どういうオチだ)