漫田久子の備忘録

日常、競馬など

馬券があるから競馬は面白いと再確認した日本ダービー

今年の日本ダービーは鞍上福永祐一ワグネリアンが優勝した。自分のことを昔からフォローしてくれている人は知っていると思うが僕は福永が騎手の中で1位2位を争うほど大好きだ。世間の評価とは対照的に騎乗技術をかなり評価しているし、ファンサービスなどに表れているような彼の人間性には感心させられる。

 

福永の騎乗を一言で表すと「理詰めで乗る」だと思う。実はかなりクレバーな騎手で、しっかりとした位置取りで安定して騎乗馬を上位に持ってくるし、警戒してる馬が馬群にいるときはサッと蓋をしたり嫌らしい部分も持つ。人気馬を飛ばすこともしばしばだが、それはそれで彼らしい。理詰めで乗るからこその弱点だと思うからだ。

 

福永自身が語っているように、日本ダービーは苦い思い出ばかりが残り、これまでチャンスと目されていた馬を飛ばすこともよくあった。しかしそれらの馬がいたから今回のワグネリアンの勝利があったと僕は思っている。本人の話を聞いたわけでもないので想像の範囲だが、過去の経験が今回のレース運びにつながった部分もあるだろう。天才福永洋一の息子というだけで親の七光りなどと野次られた福永が、父も成し得なかったダービー制覇という偉業をやり遂げ、男泣きする姿はぐっと込み上げるものがあった。

 

その最中、僕の横で競馬中継を見ていた母の3連複が当たった。100円10点買いの1000円で50万の払戻。意味がわからない。しかもそれが僕の口座に振り込まれるから余計に意味が分からない。さらにその50万をコンビニで引き出し母に献上する地獄みたい作業が待っているので全く意味が分からん。せっかくのいっくんダービー制覇に水を差されたなと一人で不貞腐れ…ることはなかった。びっくりするくらい不貞腐れなかった。むしろ清々しくて、母の的中をツイートしてる感もボロボロ泣いていた。(馬券を外した悔し涙ではない)

 

その時僕は思った。金銭的にはこんな生き地獄みたいな環境下なのに、好きな騎手のダービー制覇を心から喜べるってすごいことだなって。競馬ってすばらしいなって。だけどそれは競馬のギャンブル面を否定しスポーツ面を不自然に肯定するようなよくある意見ではなく、ギャンブル面があるからこそ生まれるものだと再確認した意見である。

 

例えば映画タイタニックを見てボロボロ泣いたとしよう。しかしそこには損得勘定が一切ない。しかし競馬で泣くというのは必ず自分の金銭面における損得勘定が介在した上での現象だ。それって競馬にしかない状況なのでは?よりそのシチュエーションを深く享受するためのスパイスになるのだ。

 

競馬自体は10年近く見ているが馬券は20歳から買い始めたので、今年で馬券歴は5年目。それでもいままでそういった感情に気づくことはなかった。自分にとってかけがえのないレースになった。やはりダービーは素晴らしいレースだ。